Mind

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少し漠然とした「Mind」心ということばの代わりに近代の心理学や哲学あるいは現代の認知科学ではconsciousness(コンシャスネス・意識)ということばを使います。

この意識の研究は、ヨーロッパではフッサールの意識の現象学からメルロ=ポンティの知覚の現象学へと進み、アメリカではギブソンのアフォーダンスからアルヴァ・ノエのエナクティブ・アプローチへと移項し、結局、意識(心)は脳の中に存在するのではなく、身体が行動の中で外部環境との反応の関数として生み出すものだということになりました。

少し過激にいえば、ジョージ・レイコフとマーク・ジョンソンが『肉中の哲学』でいうように、「心はもともと身体性だ」(The mind is inherently embodied.)ということになります。

身体哲学研究所もMindに対して基本的に彼らと同じスタンスを取っています。

いい方を換えれば、こころは身体から独立しては存在し得ず、身体が変われば必然的に変わるということです。

もうひとつ西洋語で「Mind」(心)に深くつながることばは、心理学をPsychology(サイコロジー)という時のpsyche (サイケ)です。

サイケ(psyche)はギリシャ語のプシュケー(psyche)から来ていますが、プシュケーはもともと“氣息”(呼吸)という意味のことばで、そこから霊魂、つまりspiritという意味が派生してきました。

しかし、ここからもpsyche(心)のもとは身体から生まれているということが見てとれます。

 

 

分かりやすくいうと、心の発生源、あるいは心の深部は、身体の深部とつながっているということです。

現代社会には、

心身症(psycho-somatic disease)という病が瀰漫(びまん)しています。

心身症とは、心が原因で身体が病んでしまう病気、あるいは身体が原因で心が病んでしまう病気です。

これを治すには身体を治すのが病理学的には本道ですが、不思議と心を治すことで身体が治ってしまうこともあります。

病理とは、実体のある身体のどこかの臓器がdisorderをきたすことですが、ヴァーチャルの世界に生きる人間の場合、実体のない心が病むというヴァーチャルな病が存在するということです。

これがもう一段階はみ出していくと、現代の日本にはびこりつつあるスピリチュアルという危険なヴァーチャルの世界になります。