Ⅱ-1
身体哲学研究所の「骨文法」は、正式には「生成骨文法」といいます。 英語でいうとGenerative Osteo Grammar.略してG.O.Gです。この命名は言うまでもありませんが、言語学者ノーム・チョムスキーの「生成文法」Generative Grammarから拝借したものです。さて、解剖学は今からおよそ500年程(1543年)にヴェサリウスの『ファブリカ(人体構造論)』によって近代解剖学(科学的解剖学)として確立されました。というのは古代から「からだの解剖」は行われてきました。中でも黄金比をふまえたB.C1世紀ローマ時代の建築家ウィトルウィウスのデザインした人体図はルネッサンス時代に「レオナルド・ダ・ヴンチの描いた「ウィトルリウス的人体図」として有名になりました。 つまり、人体の解剖図は初め建築家によって注目され、次にダ・ヴィンチなどの芸術家(画家・彫刻家)によって重視されるようになったというわけです。そして、残念ながら、医学(科学)が関心を持ち出したのはヴェサリウスが『ファブリカ』を書いた500年前でした。運動学、スポーツ学はごくごく最近ようやく一部で骨に関心を持ち出したとという程度です。はっきりいえば、医学やスポーツ運動学は21世紀になって初めて骨(や関節)が注目され出したというところでしょう。 500年前のヴェサリウスが骨格の基本構造を示した後、200年程達て、初めて、骨格を生きた人間の「動き」という観点からひとつの骨格の分類が行われました。これは大きな一歩だと私は考えています。それが、図①に示した軸骨格と付属肢骨格の分類です。 しかし、これではまだまだ人間の「動き」は解明されていません。ここ200年で、まだこの先の分類が行われていないので、身体哲学研究所では図②のように腰椎、胸椎、頸椎と3つに分かれた背骨に付属する3つの大きな骨、頭の骨(頭蓋骨・顔面骨)胸の骨(鎖骨・肋骨・肩甲骨)腰の骨(腸骨・坐骨・恥骨)を組み合わせて人間の動きを説明しています。これで、昆虫のように頭部、胸部、腹部と、それぞれに一対の足というように、胴体とそれに直結した手足のつながりが一目で分かり、その動きもおのずと理解しやすくなるという訳です。
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図1
図2